寄付を“科学する。”

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「活動資金が思うように集まらない。もっと寄付を集めるにはどうしたらいいか?」
市民活動をされている方は何度もこの壁にぶつかった経験があると思います。私もその一人です。寄付を集める方法は多種多様ですし、団体自身が長年蓄積してきたノウハウもあると思います。寄付調達(ファンドレイジング)を考えるとき、これまではどちらかというと「誰から(Who)、どのように(How)、どれくらい(How Much)寄付を集めるか?」という方法論的な課題設定が比較的多かったように思います。また、日本の寄付市場の動向など、マクロ経済的な視点での議論も盛んに行われてきていると思います。

一方で、「人はなぜ(Why)、いつ(When)、どこに(Where)寄付をするのか?」という、個々の支援者をミクロの視点から捉え、人々の寄付への意思決定プロセスや選択、寄付者の行動を深く理解することも必要です。

最近、「行動経済学」が新聞・テレビでも取り上げられ注目を浴びています。行動経済学とは、伝統的な経済学が得意とした人々の合理性のみを前提とせず、実験や観察を通して、人間がどのように経済活動を選択・行動し、その結果どうなるかを心理学の要素も取り入れ究明することを目的とした経済学の新しい分野です。最近の研究では、他者の寄付行為は自分の寄付への意思決定や選択に大きく影響を与え、その行動や寄付額を左右させるという「社会的証明」の存在効果も実証されています。

市民活動を支える資源である寄付。これまでの寄付集めの伝統や習慣を超えて、寄付の意思決定と行動分析をしっかり行い、人々の利他行動の理解を深めていくために“寄付を科学する”ことは、これから益々必要なアプローチであると思います。

理事  梶 英樹