子どもたちが 夢に見る 大人になろう!

老人ホームの1階を借りて開催していた子ども食堂にきた小学4年生の男の子が、ある日「スタッフをしたい」と言ってきた。
それはありがたいと申し出を受け入れ、その場で彼を子どもスタッフリーダーに任命した。

次の週から、「クツは並べて」「廊下は歩く」「挨拶しよう」など、私が子どもたちに声がけしていることをコピー用紙に印刷、ラミネートして持ってきたり、メニュー版を書いたり、スタッフが普段していることを何も言っていないのに、やり始めてくれた。

5年生の時には、七夕の笹を山から切り出してきた七夕イベントや、クリスマスイベントなどを季節ごとに様々な企画をしてくれた。
しまいには、Amazonで購入したインカムを大学生のボランティアさんに渡し、テキパキと指示を出すようになった。
子ども食堂で地域のお祭りを企画し開催したのだが、2回目から彼は「4つのブースを任せて欲しい」と自ら準備した。そして、当日手伝いに来てくれた大学生たちが驚くほどブースをうまく回し、多くの子どもたちを楽しませた。

コロナで子ども食堂を開催できない期間に企画した1泊2日の野外キャンプには、彼は当然のようにスタッフをしていた。

中学1年のとき、彼の祖父のガレージを利用した駄菓子屋をオープンした。

中学2年になった彼は、自ら行政と交渉し子ども食堂を立ち上げ、大人や大学生のスタッフを自ら集め、SNSを駆使して食材や備品を調達し、お弁当100食を毎月届けていた。

中学3年の時には、一般のお祭りに出店し、1回に30万もの売り上げをあげ、その費用で全国各地の子ども食堂に視察に行くようになった。もちろんアポも計画もすべて彼自身が立ててである。
そして、この春休みには、企業からの協賛も得て、大学生とともに1泊2日の春キャンプを実施している。チラシは近隣の学校に配布し、参加者70名である。

子どもたちが夢を持つとき、そこには輝いている大人がいる。努力しながら一所懸命に、でも楽しそうにがんばる大人がいる。プロスポーツ選手やアイドル、ユーチューバーに子どもが憧れるのは、そこに楽しそうな大人がいるからである。

彼ばかりでなく、活動に参加してくれた子どもたちの心の中で、地域で活躍する大人の姿はきっと輝いているはずである。
大人の常識などは横に置いておいて、子どもたちの可能性を信じられる今を楽しむ大人が現代の社会には必要である。

高校生になる彼は、この春県外へ移ってゆくが、新しい場所でNPOを立ち上げたいと笑顔で語っていた。

理事 眞鍋 大輔