「無料デー」に考える

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小生、根っからの旅好き、乗り物好きである。コロナ禍で出控えが続き、ストレスがたまっていた折、昨年11月に始まった「日曜・祝日 路面電車・路線バス無料デー」のニュースに心が躍った。

 とさでん交通をはじめ、高知市を通る路線の公共交通が日曜と祝日は無料。東は安芸、西は仁淀川町池川まで利用できる。乗客は整理券を取って乗り込み、降車時に渡すだけ。運賃は高知市が肩代わりする。財源は国のコロナ対策交付金から捻出されるもので、公共交通機関の売り上げ減少対策として取り組まれる、全国でも珍しい施策だ。

 初日の11月3日、さっそくはりまや橋から安芸行きのバスに乗ってみた。車内は新聞やテレビなどで知った家族連れや若者など、普段あまり乗らない客層が多く満員状態。バスの大きな車窓から見える雄大な太平洋、次便の待ち時間にぶらりと歩く安芸の街並みでの発見、ちりめんじゃこをあてに昼酒も楽しめ(笑)、マイカー移動では味わえない旅行気分に浸った。

さて、コロナ禍に限らず、県内の公共交通は赤字が続き、公的支援を受けながら高齢者など交通弱者の地域の足として存続させている路線がほとんど。高知市周辺でも乗客の少ない路線の減便、廃止が相次いでいる。ますます高齢化が進む地域にとって、交通政策はまちづくりの基本。プチ旅行を楽しみながらも、無料に浮かれている場合でもないよなぁ、と考えさせられる。

なぜ、公共機関を利用しなくなったのか。例えば、高知市南部から中心街に通勤する私は、健康のため基本的に自転車を使っているが、雨の日は車にすることが多い。朝早めに出てコインパーキングに停めれば、1日500~600円程度。バスだと片道500円弱かかるので、ガソリン代を考えても経済的に車の勝ちとなってしまう。

運転によるリスクがなく環境にやさしいというだけでは、便利さには敵わないのが正直なところ。公共交通を残すなら、経済的メリットを出して、高齢者や学生に限らず利用者を増やすことが求められる。今回の無料デーが一過性の補助政策に終わらず、交通政策の実証実験として、持続可能なまちづくりに活かしてほしいものだ。

高橋 章郎