NPOの対価

「NPOでしょ!ボランティア価格で」と言われる。

二つの論点がある。ボランティアとNPOは違う、そして、NPOの対価をどう考えるのかということ。ボランティアとNPOの相違は、よく議論されることなのでここでは触れない。

さて、NPOの対価である。

本職である私のコンサルティング(まちづくり)価格は、国交省単価等を基準にして少し低めに設定し提示しているが、それでもNPOの対価の倍近くになる。

酷いところでは、NPOの人件費単価は、経験年数やスキル、資格などは考慮されず、NPO=ボランティアという大きな括りで処理される。その背景には、ボランティア=NPO=無償もしくは低賃金という意識があるからだろう。

加えて、技術料をはじめ、間接費や経費科目など様々な諸経費が認められない場合も多く、かつ、認められても掛け率が一般よりとてつもなく低かったりする。これでは活動はもとより、団体の運営にまで困難を生じてしまう。

たとえば、公共サービスの一端を担う事業を展開するNPOの場合、安定的に活動するために、“企業並み”を正々堂々要求してもよいのだが、発注者側から値切られると、NPOという引け目なのか、社会貢献を好意で行っているという偽善的な好意が横切り、つい、一歩も二歩も退いて屈してしまう場合がある。

要するに、NPO=ボランティア=非営利の意識が、発注者側にもNPO側にも強くあるということだ。非営利とは利益を分配しないことであり、活動の対価とは別物と考えなくてはならないのに。

さらに、安定した財政と将来のリスクに備えるための内部留保さえも否定的な意見すらある。

さて、どうすればよいのか?

至極端的な言い方だが、一部の行政マン(発注者)の意識改革とNPO側のNPOという引け目さ・変な卑屈を改善しなければならないと考える。

最後に、最初に避けた論点に戻るが、ボランティアとNPOをイコールにせず、発注者が求める社会的課題を解決するためには、一般社会の対価を適用すべきこと、言いかえるとNPOの社会の中での地位改善、これが解決の近道である、これが私の個人的見解だ。

理事  四宮 成晴