めくるめくおすしの世界

昨年は高知県内のおすしを調べてまわる機会に恵まれた。
魚のすしに、五目ずし、海苔巻き、玉子巻き、昆布巻き、山間部には山菜をやこんにゃくをネタにした田舎ずし、漁師町には固く押し固めたこけらずしやつわずし、甘く煮付けた豆のすしや、米の代わりにおからを使ったおすしまで。
ゆの酢をどばどば入れたり、焼いたサバの身を酢飯に混ぜたり、工夫を凝らす。
共通点はお米(または、おから)と酢を使うことくらいで、地域の味、そして作り手の味がある。
手間をかけたおすしには、誰かをもてなしたいという気持ちが溢れている。
趣味趣向はことさら、考え方、働き方、生き方、多様化を極める今日この頃。
人と人をつなぐツールはなんだろう、フラットに人と人が接する場所はどこだろうと考える。
そのひとつは食べることであり、食卓が担うのではとぼんやり思った。
その食卓に上るごちそうには、おもてなしの心が詰まっていて、だからこそ会話が弾む。
おすしひとつとって個性溢れる高知県は、豊かな人間性関係の基礎をもっているのではないかと。
理事  宮脇 綾子