NPOの原点

コロナ過、入所する想い人と会えなくなって2年近くになる。今も看取りの家族のみ面会が許され、おいらは未だ想い人とハグすることができない。

さて本題だが、想い人を施設に預けるまでの数年間、心の拠りどころとなったのが介護系NPOと地域NPO(町内会)である。特に介護系NPOには、制度外の数えきれないサービスを受け、どれだけ助けられたことか。

家族の介護は、感情爆発に絶えず悩まされる。身内だからこそ出てしまう激情で多くの事柄が壊れ、そして失われていく。

時折、ニュースで家庭内において介護者が被介護者へ暴力をふるったり、あるいは施設内で働く職員が被介護者への虐待行為などが取り上げられるが、介護者、職員の行動を、おいらは否定することができない。「被介護者をベッドに縛りつけて拘束する気持ち、よくわかるぞ!」と、合点する次第である。こうしておいらはより一層歪な性格にうつろい、心の色が褪せていく。こんなとき、手を差し伸べてくれたのが介護系NPO。

世話になった介護系NPOは、介護事業のミッションと無報酬というNPO活動(社会貢献活動)との絶妙なバランスをとりながら、専門職者と非専門職者を適材適所に配置しながら、これでもか!ってほどに寄りそってくれた。さらに恵まれたのは、元気だったころ近所づきあいや地域活動を大切にしていた想い人、発症後、地域のおばちゃんたちから多くの慈愛を受けることになる。いわゆる地域で見守るNPOである。こうして、介護系NPOと地域NPOによって「身内だけで抱えてしまうあやうさと危険」から、抜け出すことができ、なんとなくこのころから組織のNPOと町内会(地域NPO)の原点とは?を考えるようになった。

そして今、このようなことを考える。NPOとは、非営利活動だけではない。無償のボランティアだけではない。困っている人に手を差し伸べる、地域を助けるという一方向だけではない。お互いに当事者として手をとりあい、懐に飛び込み、価値観を探り、公益性を高めていくことにあると。

理事 四宮成晴