災害支援を始めて27年。ベテランと言われる域に達して支援に当たっても心の余裕が出てきた。
そこで支援に当たってのお作法を伝授します。
支援初心者や少し慣れた方が犯しやすいのが改善欲求と提案地獄。
改善したい意欲が前に出過ぎて、次から次へと課題を羅列して現場を硬直させてしまう。
テレビや小説のヒーローものがこのパターン。主人公が指揮して現場が改善されていくってやつね。
支援とは相手の能力を最大限に引き出すこと。自分が司令塔になることではない。
課題を羅列すると多くの現場や職員は委縮してしまう。つまり現場力が低下する。
これでは結果的に支援ではなく妨害になってしまう。
現場から拒否される支援者のパターンは課題羅列型提案地獄大魔王なんですね。
批判することで状況が改善されればUPすればよいが多くの場合は現場を委縮させてしまうだけ。
現場で対応している人にはまずは批判ではなくリスペクトを持って対応しましょう。
これは災害現場に限らず平常でも同じ。自分の価値観を押し付ける人間は拒否されるのです。
ところが専門性や地位が向上すると、人間の基礎的対応力が落ちる傾向にあるのか、現地入りしていきなり現場を批判する人がなんと多いことか。
最悪なのは被災地を駆け足でまわり、表面だけを見てSNSや報道で課題を羅列する人々もいるということです。
支援者として最も重要な資質は相手から信頼される人間性。どんなに正しい提案をしても信頼関係がないと拒否されます。
支援に当たって最初にすべきは人間関係の構築。提案はその後。
そして支援者にできるのは提案まで。最終決定権は地元(当事者)にある。自分の意に沿わない決定となってもそこはぐっと堪える。そこで「ここは提案を聞かない」「災害が分かっていない」などと名指しで不満をSNSで発信した時点で支援者としては失格なのです。
最後に金子みすゞの「こだまでしょうか」をアレンジしてご紹介。批判には批判が、肯定には肯定が帰ってくる。こだまでしょうか。いいえ、だれでも。
理事 山崎水紀夫