次世代に向け私たちができること

1970年、アジア初開催の大阪万博。テーマは「人類の進歩と調和」。当時9歳だった私は、夏休みに家族と大阪に滞在し、一週間会場に通い続けた。

会場では、各国のパビリオンを回ったが、中でもアメリカ館は圧巻であった。アポロ11号が持ち帰った「月の石」を見るために6時間並んだが、何より驚いたのは、白く輝くアメリカ館の大屋根。万博の18年後に建設された東京ドームと同じアエドーム構造である。

回転扉を抜けて中に入ると、約150mスパンに構造体が一つもない広大な空間。人間の技術力に感動するとともに、宇宙時代の到来に、次の世紀にはきっと戦争や内紛は無くなり調和のとれた平和な世界になっているものと信じていた。

今年4月13日から約半年間、大阪・関西万博が開催される。技術は更に進み、会場では実用化目前の空飛ぶクルマがデモ飛行を行う。また、世界最大の木造構造物「大屋根リング」は日本の古い技術を用いながら、環境に配慮し持続可能性とイノベーションを謳う。

しかし、21世紀になっても人類は未だ戦いを続け、日々多くの命が失われている。

今回のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。

事業の考え方を「いのちを起点に、世界の人びとと未来を共創する挑戦にほかならない」としている。

戦争は最大の環境破壊でもある。素晴らしいテーマと自国第一主義が台頭する現実世界の間で、次世代に向けできることは何なのか、自分事として考えなければならない。

理事 森岡 眞秋