当たり前が当たり前でなくなる日

ここ5年ほど、香川県の牡蠣小屋に行くのが冬の楽しみでした。

お気に入りの牡蠣小屋は、飲み物の提供がないため持ち込みです。毎年ご一緒するIさん一家は、シャンパンを抜いて他のお客さんを驚かせています。もはや祝い事です。

ところが、今年は養殖牡蠣の大量死ということで行けそうもありません。昨年夏の海水温上昇に加え、台風が来なかったことも原因のようです。

台風は直撃すれば被害をもたらしますが、海の中をかき混ぜて栄養素や温度を循環させる役割もあります。気候変動により、食卓に並ぶ水産物の種類や価格も大きく変わり、イカやタコは贅沢品、国産ウナギは手が届かない存在となりました。

初夏の楽しみだった潮干狩りも20年ほど前からできなくなり、今では国産アサリを見かけません。反対に増えすぎた動物として、昨年、九州・四国以外における熊被害のニュースを聞かない日はありませんでした。

これまで当たり前のように受けていた自然の恵みですが、一度バランスが崩れると戻すことが難しいということを改めて思い知らされています。今ある営みを守り、引き継ぐ人を支え、その活動を発信していかなければと強く感じます。

新しい年にあたり、瀬戸内海の回復と漁業関係の方々への早急な支援を祈りつつ、今年は香川の「あん餅雑煮」に挑戦して楽しもうと思います。

担当理事:塚﨑 由子